デフレが長く続いたわが国において、必ずしも悪い面ばかりではないのかもしれないが、これでは病院の財務は破綻してしまう。グラフ2は東京都内のガソリン価格の推移を見たものであり、こちらも著しい上昇基調にある。
都心部ではハイオクガソリンの店頭価格が200円を超える場所もある。輸送価格が上がることを意味するわけだから、病院の材料などの価格交渉は、今まで以上に厳しくなる。加えて、24年は医師だけでなく、トラックドライバーにも働き方改革が適用されており、時間外労働規制の影響も病院の仕入れ改革に影響を及ぼすだろう。さらに、為替相場を見れば円安が進行しており、輸入品に依存せざるを得ない医療界にとっては致命的になりかねない=グラフ3=。
病院としては納品回数を見直すとか、検品の在り方をバーコードに替え効率化を図るなどさまざまな取り組みを進めているだろうが、そもそも厳しい財務状況にある病院は立ち行かなくなっている。
これに対して24年度診療報酬改定では、財源が制約される中、本体0.88%のプラス改定となった=グラフ4=。しかし、多くの財源が賃上げに充当され、賃上げをすればさらに持ち出しになってしまう。
連載第234回でも取り上げたが、病院、特に特定機能病院のような高度急性期病院における財務状況悪化の一因に医薬品・材料費比率の上昇が挙げられる。もちろん、使った材料は原則として償還されるわけであり、それが赤字の原因であることに違和感を持つ方もいる=表=。
(残り1839字 / 全2554字)
次回配信は2月10日を予定しています
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】